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我ながら、かなり大胆な言葉を言ってると思う。
でも、まぁ良い。
だって、どうせ明日には世界が終わってしまうんだし。
それなのに、今のところ好きな人もいない私。
でも実は人一倍、誰かと恋愛することに憧れがあって。
それが1度も出来ないまま、明日には人生が終わってしまう訳で。
そんなのは嫌だ、って思った。
せめて誰かと恋愛した記憶が、自分が消えて無くなる直前に欲しい。
だからって、何でこのボサッとしていて、とことん冴えない米津君なんだよって。
自分で自分のチョイスに、若干ひいてる部分もある。
でも、他に見回してもこの教室には誰もいないし。
だからといって、流石に他の教室にまで遠征する程のバイタリティーなんてない。
けど、誰かと恋愛してみたいって気持ちはあって。
昨日、たまたまつけたテレビでやっていた、最後にこれだけはやっておきたい特集みたいなのを観ていて。
私は何が最後にしたいんだろうって、考えるに考えた結果、一生分の恋愛をしたいって思った訳で。
それで、私の頭の中で白羽の矢が立ったのが、米津君だったという訳だ。
他のクラスの人なんて、男子となんて、それこそ面識ないし。
まだ米津君だったら、声かけれそうかな、なんて……。
「……良いよ」
「え?」
「付き合っても、良いよ」
顔がほとんど見えない米津君が、私の方を向いて低くボソボソした声で言った。
「ほ、本当に?」
人生初の告白というか、ナンパというか。
今更ながらに、とんでもないことをやらかしたかなという気持ちと恥ずかしさで、顔が熱くなるのを感じた。
私のそんな様子を見てなんだか、マスク越しに米津君が吹き出す様子が見てとれた。
それから、米津君が言った。
「その代わり、3年付き合ってるくらいの雰囲気の内容は、俺主導で決めて良い?」
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