5人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、父に急な仕事が入り、少年一家は予定を前倒しして都会に戻ることになってしまったからだ。少年は自分が子どもであることを呪った。
きっと彼女は独り、あの公園で待ち続けていたのだろう。オニが来なければかくれんぼはできない。
その翌年に少年の祖母が亡くなった。以来、彼はあの北国に行く機会すらも失ってしまった。
結局のところ、少年は彼女に謝ることができなかった。
もしかすると、彼女は今でもあの公園で自分を待ってくれているかもしれない。そう思うと胸の奥底がキリキリと締め付けられる。
「雪女」
ぽっかりと胸にあいた穴を埋めるよう、彼は彼女を呼ぶ。
夢はいつも、ここで終わる。
最初のコメントを投稿しよう!