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「すみません。……私じゃ、入れないですね」
「何で?」
「私、京都、嫌いなんです」
「え」
これには、傍らで聞いていた玉木も驚いていた。
「あ、え? 京都、嫌いなん? ……何で!?」
塔太郎は、何の拍子かチラシがぺらぁ、と枯れ葉のように落ちるのも構わず、彼女に聞いた。
「だって……京都の人って、イケズじゃないですか」
返ってきた答えは、玉木が先程言った事と全く同じもので、
「愛想よくても裏で何言うてるか分からへんし、はっきり言えへんくせに、プライド高くて負けず嫌い。家柄や皮肉で勝負して、それが全部やって所、ないですか? 私、そういうんが嫌やなぁって思うんです」
塔太郎は開いた口が塞がらなかった。
玉木以上にはっきりとものを言う姿勢にも驚いたが、それより何より、その発音と言葉遣いからおそらく、彼女は身内の人間ではあるまいか。
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