ふたり

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私たちの両親も天国を信じていた。信じることで死から遠ざかった気になった。よく「天使さまが魂を迎えに来てくださる」と父が話したことを私たちは馬鹿にした。だって、そんな見えないものをどう信じるのか分からなかったから。表向きは、私たち天国が大好きだった。 父さんも母さんも戦争へ行って、私たち子供は子供だけで疎開しなきゃならなかった。町から鬱蒼とした森を抜けて、砂ばっかりの地面を影を見つけながら歩いて、その先の村は、全部の人が死んでいた。向こうの国の兵隊はもういなくて、私たちは死体を集めて広場で焼いた。たくさんの子供が天に祈っているのを、グレーと私はふたり手を握ってみていた。 やがて私たちの国の兵士がやって来て、故郷が焼けて大人も皆んないなくなったと言った。 私たち子供は子供ではなくなっていた。戦争が始まって、5年経っていた。私たちはグレーを中心に何回も会議をして、ここで町を作ることにした。海の街のこどもは皆んな魚の捕り方を知っていたから、あとはグレーに従えば、思うよりも簡単に村は成長して、子供もたくさん増えた。私たちの国ができた。いつしか天国や地獄の教えは生活から消えて、無宗教な私たちは周りのどの国とも摩擦を起こさず過ごせた。それは素晴らしいことだと、外からやって来た多くの外交官は褒め称えたし、みんなもグレーを感謝していた。すべて、グレーが提案したことだったから。
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