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「……え?」
「あの時ぶっちゃって…ぶつつもりなんてなかったんだけど…カッとなっちゃってさ…」
「大丈夫だよ…全然。これくらい……」
そう言いながら、震えた手で頬を撫でる。少し痛みは引いたが、まだ痛みは引かない。すると、颯馬は俺の腕をとる。
「手震えてる。無理しなくていいよ。本当に…ごめん。」
「む、無理なんか…してな……」
「まだ少し赤くなってるし、痛いんだろ?」
そう言いながら、俺の頬を優しく触ってくる。やめて…そんなに優しく触ってこないで……。 そう思っていると、目頭から熱いものが込み上げてきて頬を伝った。
「……え」
「あ…違…これは……」
「輝…?」
「う…うぅぅ……」
涙は治まらず、俺は颯馬に抱きついた。
「輝…」
「颯馬…ごめん…ごめん……嫌いに…ならないで……」
「……えっ!?何で、俺がお前のこと嫌いになるんだよ!?」
「だってぇ……」
俺は情けなく泣きじゃくりながら夢で見たことなどを颯馬に話した。
「なるほど。その夢の俺がお前に酷いことを…輝…そんなことただの夢だろ?気にすることねぇよ。」
「でも…正夢になるかもしれないじゃん…それが怖くて……」
「はぁ…まぁ、正夢の可能性も考えられるよな。だけどな、輝。これだけは覚えておけ。」
「……何?」
颯馬は俺の耳元でこう呟いた。
「俺はお前のこと好きだ。友達として…恋愛感情としても好きだから。」
「……え…?」
次の日、俺は普通に学校に行った。昨日の颯馬の言葉が頭から離れない。あの後、すぐに颯馬の親御さんが来て颯馬はすぐに帰ったが、帰り際俺の耳元でこう囁いた。
「さっき言ったこと、冗談抜きで本気だから。覚えておいて。」
その言葉を思い出すと、耳がくすぐったくなって変な気持ちになった。覚えておいてって言っても…覚えておいてどうすんだよ……。
「はぁ……」
自分の席でため息をついてると、クラスメイトの女子に声をかけられた。
「如月君、部活の先輩が呼んでるよ?」
「…え?」
教室のドアの方を見ると、同じ部活動の二年生の先輩がニコッと笑って手を振った。こっち来てと言っているみたいだ。俺は席を立ち上がり先輩の元に行った。
「如月、悪いなぁ。ちょっと話したいことがあるんだけどついてきてもらっていいか?部活動のことで一年の相談が欲しくて。」
「はぁ…分かりました。」
この時の俺は全く想像していなかった。まさか…あんな目に合うなんて…。
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