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「あ、あのねっ…これはその……教育…教育なのよ!だから決していじめてるわけじゃ……」
「先生…嘘つきは泥棒の始まりなんだよ?嘘ついちゃ駄目だよ。」
そう言って颯真君は、手に隠し持っていた携帯を見せる。俺を蹴ったり殴ったりする動画が5分程撮られていた。
「そ…颯真君…あなた……その携帯は……」
「加藤先生に借りたの。山城先生の本性を知るためにね。…先生、輝君に何でこんなことするの?輝君が何かしたの?」
「……この子は、私の言うことを聞かないのよ。いつも1人でいるから…せっかくお友達と遊ぼうって言ってるのに、こいつはわがままばっかり!自分勝手にも程があるわよ!!この園では園長先生の次に私が偉いのよ!私に逆らうものは何人たりとも許さないわ!!ここは私の王国なのよ!!!」
高い声で笑う山城先生を見たみんなは、酷く恐れていた。無理もない。今の先生は…化け物だ。しかし、唯一何も恐れていない颯真君が制裁を下す。
「王国?ここは保育園だよね?誰が偉いとか関係ないよね?」
「…は?」
「園内のルールで先生教えてくれたよね?みんなと仲良くって……」
「それはあんた達のであって大人には関係ないのよ」
「大人は仲良く出来ないの?」
「仲良く出来る出来ないの問題じゃなくて!大人はあんた達子どもみたいに仲良くなんてしないものよ!」
「俺のお父さんは…仕事場で仲良くしてくれる上司がいて、いつも親切に丁寧に教えてくれるんだって。仕事が終わったら、飲みに行こうって誘ってくれてとてもいい上司を持ったって言ってたよ。だから、大人も仲良くするものだと思うよ?」
「……っ!」
山城先生は颯真君を睨んでいる。逆に颯真君は、無表情で冷静な目をしていた。
「話は全部、聞かせてもらいましたよ。山城先生。」
「…え…園長先生!?」
颯真君の隣から、園長先生が現れた。
「あれ?園長先生、しばらく出張で来れないんじゃ…」
「仕事が早くに片付いちゃったから、早めに帰ってきたのよ。初めまして、颯真君。」
「はじめまして、園長先生。」
園長先生と颯真君は挨拶をしてニコニコしていた。
「さて、話は戻りますが山城先生。」
「はっ…はい!」
「あなた、輝君の手足を拘束して何をしていらっしゃるのかしら?」
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