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再会
あれから、9年が経った。俺は市外の優秀な高校に受かり、入学式を迎えた。見慣れない人達ばかりでとても緊張したが、すぐに友人ができて嬉しかった。趣味も一緒で主にその会話で毎日盛り上がっていた。そして2、3日経って、部活動勧誘が盛んになっていた。部活動の見学期間にも入っていた。
「輝はどうするんだ?部活。」
こいつは、東大智。入学してからすぐに仲良くなった友人。
「あー…どうしよう?正直入りたい部活はないっていうか……」
「俺もー。あ、そうだ!男バレ見に行かね!?」
「男バレ?」
「そう!ここめっちゃ強豪校で有名なんだって!見に行こうぜ!」
確かに、ここの学校の男子バレー部は全国に行ったと聞いた事がある。俺も元バレー部だし、強豪校の練習を見たいと思った。
「…そうだな、運動は興味あるし…行くよ。」
そして、男子バレーが練習してる第1体育館に行った。予想通り、練習がとても厳しそうだった。
「君達、見学に来たの?」
「はい。」
「こっちの椅子に座って見てて。」
マネージャーの先輩が案内してくれた椅子に座る。隣には、綺麗な顔立ちの見学に来たらしい男子が座って見ていた。
「なぁなぁ、お前って中学の時部活何してたの?」大智が聞いてきた。
「バレーだよ。」
「えっ、そうなんだ!俺は野球部、元主将だったぜ!」
「そうなんだ。かっこいいね。」
「全然、うちの学校そこまで強くなかったし…。」
他愛もない会話をしながら見学をしていると、急にボールが飛んできた。しかもかなり速い。けど、難なくボールをキャッチしてボールを返す。すると、周りから歓声が上がった。
「ねぇ、君!今主将のスパイクとったよね!?」
「え?あ…はい……」
「すげぇな、1年!主将のスパイクなんてなかなかとれる奴いねぇんだぜ!?」
「凄いな輝!かっこよかった!!」
バレー部の先輩やマネージャーの先輩、大智が目を輝かせながらそう言った。苦笑いしながらどうしたらいいか迷っていると…
「……輝?」
隣に座っていた男子が近づいてきた。
「え……?」
「ねぇ、名前はなんて言うの?」
「えっと…如月輝…です……。」
すると、その男子は俯いた。何かまずいことでも言ったのか…すると、突然腕をひかれ抱きしめられた。
「やっと…会えた……」
「え…まさか……颯真君?」
「うん、久しぶり…輝。」
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