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「…う、嘘……。」
まさか、颯馬君と再会するなんて思ってもみなかった。昔は俺の方が身長高かったのに、今では颯馬君の方が高い。それに、イケメンでスタイルも良い。俺とは正反対だ。でも昔から変わらないのは、いつも優しい笑みを浮かべる所。昔から俺は、優しくて明るい颯馬君が大好きだった。そんな大好きな彼と再会できて凄く嬉しかったのか、目から熱いものが込み上げて零れた。
「えっ、ちょっ…輝!?」
俺の涙に、颯馬君は驚いている。当然だ。周りのみんなも同様だった。
「あ…あれ……?止まらな…」
「おい、お前!輝を泣かせるなよな!?」
颯馬君に近寄る、大智。
「ち、違うの!颯馬君は何も悪くない!勝手に泣いた俺が悪いんだよ…。」
「輝…どっか具合悪いのか?大丈夫?」
「ううん…違う……ただ、颯馬君と再会出来たのが嬉しくて…気づいたら涙が……。」
「輝…俺も嬉しいよ。」
そう言って、颯馬君は優しく微笑んでくれた。やっぱり、昔から変わらない。こうして、やっと再会できた俺と颯馬君は一緒にまた色んなことをしようと約束する。けど、クラスが違うからお昼休みや休み時間くらいしか一緒にいられない。それでも一緒にいられることには変わりないから、俺は嬉しかった。
「そういえば、輝は部活動何にするか決めた?」
「あ…まだ……颯馬君は?」
「俺は…バレー部に入る。中学の時もバレーやってて楽しかったから。」
「そっか…。」
もうそろそろ、入部届けの提出日。早めに決めないといけないのに、俺はまだ迷っていた。どうしよう…。
「輝、決めてないなら一緒にバレー部入ろうよ!」
「えっ…。」
「普段、あんまり一緒にいられないからさ…部活一緒だったら色々話せると思ったんだけど……。」
「あ…うん…俺も颯馬君と一緒にいたい…同じ部活したい!俺、バレー部入る!」
「本当!?やった!あ、ていうかさ。」
「ん?何?」
「俺のこと、呼び捨てで呼んでよ。俺も輝って言ってるんだしさ。」
「あ……」
そういえばそうだ。俺はまだ颯馬君と君付けだった。けど、呼び捨てで呼べる勇気が持てない。それでも頑張ろうと意を決して口を開く。
「そ…颯…馬……。」
「ん?聞こえない。もっと大きな声で言って?」
「……っ、そ、颯馬っ!」
「あははっ…やっと呼べたね。」
そう言って笑う颯馬。けど、俺は思ってもみなかった。まさか…あんなことになるなんて……。
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