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「ねぇねぇ、この人颯馬君の友達?」
赤井さんは、颯馬に近づいて尋ねる。正直、あまり近づいて欲しくなかった。何でか分からないけど。
「うん、俺の昔の幼なじみで一番の親友だよ。」
「へぇー、そうなんだ。私、赤井紗理奈。男バレのマネージャーで、颯馬君の彼氏なんだー。」
そう言って赤井さんは颯馬に抱きついた。
「うわっ…ちょっ……違うって!俺、付き合った覚えないぞ!?」
俺は、颯馬が何を言っているのかも聞こえないくらい凄くショックを受けた。でも、何で彼女がいたくらいでこんなにも心が落ち込むんだろう?俺はそのショックを自分の中で隠しながら笑顔を見せる。
「なんだ、颯馬彼女いたんだ。だったら俺とより彼女と一緒にいた方が、いいと思うぞ?じゃあ、俺は先に体育館に行くよ。二人の邪魔したら悪いから。」
「あっ…ちょっ…待てよ!だから俺に彼女はいないって!」
俺は、走って体育館に向かった。こんな…こんな今にも泣きそうな顔を見せたくなかったから…。ごめんね…これからは、邪魔しないから。
体育館に着くと、先輩方が何人かいた。正直、こんな姿…誰にも見られたくなかった。俺は、早く更衣室に向かい着替えを済ませ、涙が出ないように頬を叩く。その時、更衣室のドアが開く音がした。
「……輝。」
颯馬の声だった。俺は颯馬の顔も見ず、無視をして更衣室を出た。最悪だ…こんなことするなんて…嫌われても仕方ない……。そんな思いを抱え込んだまま、俺は練習に臨んだ。
練習は予想していた通り、中学と違ってハードだ。まだ体がついていけない。ランニングも筋トレも。けど、やっぱり大好きなバレーを続けてよかったなと思う。まだ先輩達には到底及ばないが、先輩達みたいになりたい。俺も試合でプレーをしてみたい。そう思いながら、先輩達の打ったボールを拾っていると時
「おい、一年!危ない!!」
振り返ると勢いよく飛んできたボールが俺の顔面に直撃した。あまりの痛みに俺はしゃがみ込む。
「わっ、悪いっ!大丈夫か!?」
「は…はい…大丈夫です……。」
大丈夫だと思っていると、血が床に落ちた。
「……え?」
鼻血が出ていた。しかも、かなり量が多い。
「おい、大丈夫か!?マネージャー!ティッシュ持ってきてくれ!」
「はっ…はいっ!」
あまりの恥ずかしさに、蹲ることしか出来なかった。今にも泣いてしまいそうになった時、誰かに手を取られ、体育館から俺を連れ去った。
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