魔法よりも大事なもの

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「……アルストじゃん! どうしてお前がここに?」 「りこるぅ~!」 安心した僕はリコルに隙がないくらいにぎゅっと抱き着いた。 「無事でよかった~……っとリコルも見つかったし、早く兄さんのところに――」 「ヴィオさんがどうかしたのか?」 「えっ? 朝から一緒にいたんじゃないの?」 「……あーそうだった! 黒いローブの魔法使いに襲われて、ヴィオさんに逃げろって言われてこの森の中に逃げたんだよ~!」 「そうだったんだ……それで、実は――」  僕は兄さんが黒いローブの魔法使いに傷と毒を負わされたこと、兄さんから魔力を半分もらったことを、リコルに全部話した。 「もしかしたら、オレの回復魔法で治せるかも?」 「本当!? じゃあ早く家に戻らなきゃ! 急ぐよリコル!」 「お、おい! 早いってば~アルスト~」  リコルの魔法に期待しながら、僕は家に向かって思いっきり森の中を走った。リコルの回復魔法の良さは、僕が一番よく知っている。特訓の時に僕がたくさん怪我をしても、リコルがすぐに治してくれた。だから今回の兄さんの傷と毒もきっと治してくれるはず。  景色の変わらない森の中を走っていると、だんだんと光が大きくなって、僕の家が見えてきた。
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