迷子

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成仏できてなかった自分とその原因の霊をその場で文字通り消滅させるのではと怯えていた少女たちは、先ほど買い物に来た和菓子屋の一角に座っている。女将さんが煎れたお茶をすすりながら目の前の饅頭に目を向ける。蒸かしたての饅頭はつやつやで周りが温かかった。 「それをお食べ。」 女将さんはそう言いながらそっと人魂を撫でた。気持ち良さそうに炎が揺れる。 少女たちは不安そうな顔つきで饅頭を一口食べる。途端に表情が明るくなる。 「美味しい!」 体温のない白い肌の少女の頬が紅潮しているような顔で饅頭を食べ進める。人魂も青白く光る。 それを女将さんはニコニコと眺めている。娘さんは時折湯飲みにお茶を足しながら小さな霊を眺める。
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