知る由も無い真相列車

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「何故貴方は愛を知りたいのです?」 「私が愛に苦しんだからです」 「何故愛に苦しんだと思ったのです?」 「その苦しみを、ずっと愛だと言われ生き続けてきたからです」 「どのような苦しみを、愛だと言われてきたのですか?」 「…言わなければいけませんか?」 「言わなければなりません」  そこで沈黙が訪れる。少女は言うか言わないか迷ったが、言わなければ意味が無い、と言う決意をした。 「聞きたいことがあります。いいですか?」 「私の質問に関係しているのなら、どうぞ」  少女は男の返答に頷き、姿勢を正した。前傾姿勢から変わったとはいえ、それが興味を失ったことを意味するものではない。  これは少女なりの決意の表しだった。
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