第2話 地球滅亡のお知らせ

6/8
前へ
/17ページ
次へ
ガヤガヤ、ざわざわ、と昇降口も、廊下も、教室も。 どこに行っても、皆、話しこんでいて、いつもよりも、色んな声が聞こえる。 「おはよ、ひより」 「あ、おはよう、絢ちゃん」 「おはよー、ひよりん」 「おはよう、舞ちゃん」 教室に入って、自分の席に向かえば、途中で気がついた親友二人が、ひらひらと手を振っている。 「ニュース見た?」 「見たよー、うちんち大変だったよ」 「ああ、舞の家は大変そう。ひよりの家は?」 「うちは…まぁまぁ普通だった」 「へええ、だからひよりは落ち着いてるの?」 「どうなんだろ。お姉ちゃんは…ちょっと震えてたけど」 「まぁそうだよね」 「絢ちゃん家は?」 「うち?パパは仕事どうなるんだ!って言ってたよ、滅亡するんだから、そんなとこ心配してもねぇ?」 「ふふ、本当だね」 呆れた様子で、「でしょー?」と絢ちゃんは首を横に振り、舞ちゃんは、けらけら、と笑ってはいるけれど表情は強張っている。 ブブ、と振動を告げた携帯電話を見れば、さっき分かれたばかりの潤から、メッセージが入っていて、絢ちゃんと舞ちゃんの会話を聞きながら、画面を開けば、「滅亡滅亡って、学校中が煩い」と短い文章が送信されてきていて、潤のイライラしている様子が目に見えるように浮かび、小さく笑い声を吹出す。 「え、何なに、何ニヤケてんの?もしかして、潤先輩?」 「いいなぁ。ひより、地球滅亡の日、一緒に居よう!とか?」 「キャー!」 「潤と?あり得ないし!」 恋バナに目ざとい舞ちゃんの発言に、演劇部の絢ちゃんが悪ノリをし、舞ちゃんはひとりキャアキャアと楽しそうに盛り上がっていて、私の言葉を全く聞いていない。 「舞ちゃん!聞いて??!」 「もう無理だな」 「ちょっと、絢ちゃん?!」 「あはは!ちょっとトイレ!」 自分で悪ノリしておいて、早々に離脱した絢ちゃんと、相変わらずに妄想をしている舞ちゃんの様子に、私はひとり、大きな溜息をついた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加