第1話 地球滅亡前日

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こんな日の、こんな時間に、外に居る人間は殆どおらず、サアアァと降ってきた雨は、この暑さでカラカラに乾いていた地面と、自分を濡らしていく。 「……っ好きになって欲しいなんて、思っちゃ、いけなかったのに」 何処を、どう歩いてきたかも覚えていない。 ただ、いつの間にか辿り着いていた、私にとっての想い出の公園の、緩く続く階段に腰をおろす。 肩も、髪も、掌も。 お兄ちゃんのことなら、一番に分かってたはずなのに。 甘い匂い、苦手って、言ってなかったっけ? なんで、お姉ちゃんと同じ匂いがするの? なんで、お姉ちゃんと同じリップ使ってるの? いつから、お姉ちゃんに、そんなに優しい声を出すようになったの? いつから、お姉ちゃんを見ていたの? いつから、お姉ちゃんが、お兄ちゃんの一番になったの? 私はまだ、お姉ちゃんの、妹なの? いつになったら、お兄ちゃんは私を見てくれるの。 いつ、いつ、いつ? 『地球に住む、全世界の皆様、こんにちわ。とうとう、タイムリミットまで、24時間を切りました』 公園のスピーカーから聞こえてくる、無機質なアナウンスの声が、淡々と終わりを告げる。 いつ、なんて、意味の無い。 また、いつか、なんて多分、無い。 だって、もう 地球は、明日、滅亡する。
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