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こんな日の、こんな時間に、外に居る人間は殆どおらず、サアアァと降ってきた雨は、この暑さでカラカラに乾いていた地面と、自分を濡らしていく。
「……っ好きになって欲しいなんて、思っちゃ、いけなかったのに」
何処を、どう歩いてきたかも覚えていない。
ただ、いつの間にか辿り着いていた、私にとっての想い出の公園の、緩く続く階段に腰をおろす。
肩も、髪も、掌も。
お兄ちゃんのことなら、一番に分かってたはずなのに。
甘い匂い、苦手って、言ってなかったっけ?
なんで、お姉ちゃんと同じ匂いがするの?
なんで、お姉ちゃんと同じリップ使ってるの?
いつから、お姉ちゃんに、そんなに優しい声を出すようになったの?
いつから、お姉ちゃんを見ていたの?
いつから、お姉ちゃんが、お兄ちゃんの一番になったの?
私はまだ、お姉ちゃんの、妹なの?
いつになったら、お兄ちゃんは私を見てくれるの。
いつ、いつ、いつ?
『地球に住む、全世界の皆様、こんにちわ。とうとう、タイムリミットまで、24時間を切りました』
公園のスピーカーから聞こえてくる、無機質なアナウンスの声が、淡々と終わりを告げる。
いつ、なんて、意味の無い。
また、いつか、なんて多分、無い。
だって、もう
地球は、明日、滅亡する。
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