第1話 地球滅亡前日

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「ひより」 「……じゅ」 「探した」 グッ、と泣きそうな顔をして私を抱きしめたのは、会いたくて会いたくて会えない人の、面影を持つ、好きな人の弟だった。 「(りょう)兄ちゃんは…」 「兄貴は…元気だったよ」 「…お姉ちゃんも?」 「…ああ」 静かにそう問いかけた私に、同じように、静かに答えた潤の腕に力が入る。 「潤」 「…ん?」 「何で、私、妹、なんだろ」 「ひよ」 「何で、私、好きになっちゃったんだろ」 涙で滲んだ世界は、この1週間で、何回、見てきたのだろう。 何回、この世界を見ても、その度に、胸は痛くなる。 その度に、思い知らされる。 「私は、涼兄ちゃんに……っ好きになって欲しいなんて、思っちゃ、いけなかったの…?」 誰も、教えてはくれない私の疑問は、未だ振り続ける雨に、静かに流れて、消えていった。
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