第2話 地球滅亡のお知らせ

3/8

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
そう言ったお父さんの顔は、とても強張っていて、お母さんは、キッチンのほうを向いて、微かに肩を震わせている。 「今、政府から、発表があってね。4月2日、地球に、隕石が衝突するらしい」 「…はい?」 何を、そんな冗談を。 そんな事を思ったけれど、お父さんの表情も、チラと見えたお母さんの涙も、さっきから、離そうとしないお姉ちゃんの手も、全部、全部、お父さんの話が嘘じゃない、と声にせずとも、私に伝えてくる。 「…嘘じゃ、ないの?」 「…嘘じゃ、ないよ」 ぐん、と引き寄せられたお姉ちゃんの身体も、小刻みに震えている。 「お姉ちゃ」 「嘘じゃないの、誰も、どうにも、出来なかったの」 そう呟いたお姉ちゃんの声は、震えていて、私は、そっと、お姉ちゃんの背中に、手を回した。 「お姉ちゃんは、どうする?」 はっきりいって、あまりにも衝撃的すぎるニュースで、食欲なんてものも、吹き飛んでいたけれど、お母さんが、「ご飯、食べよっか」と変わらずに優しく笑い、「そうだな」とお父さんが頷き、私たち家族は、久しぶりに4人揃って、いつもよりも少し遅めの朝食を食べ始めた。 「あたしは…パンが良いかな」 「わかった」 「ありがとう、ひより」 珈琲を入れているお姉ちゃんの横を通り、朝食の手伝いをする。     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加