7人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうなのか」
「やはり、あまり驚かない。あなたは何か知っているのではないですか?」
なっ! やられた。驚くのが自然だったな。
「生前、私は神を嫌っていました。ですが、死ぬ直前にその考えが変わりました。神に助けられたのだから」
あっ! 思い出したぞ! 俺が以前下界に来たときに助けたやつか? 正確にいえば助けられなかったのだが......。
でも、あのときは顔は見せなかったんだけどな。
「その表情。やはりあなたがあのときの神なのですね」
何でバレたんだ! 何も怪しいことはしてないはず。
「でも、どうしてわかったんだ?」
「あなたはその時の神に雰囲気が同じだった」
そんなことでバレるのかよ。どうしたもんかな。これで俺を手玉にとろうとしてんのか? ここまできたら仕方ないな。
「安心してください。誰にも告げ口はしませんから」
そうなのか? 何でだ?
「どうしてだ? 何を企んでいる?」
「言ったはずです。嫌いなのは変わったのです。今度はあなたの力になりたい」
分からない。俺はあいつを助けられなかったのに、力になりたいだって? 俺は感謝されるどころか恨まれるぐらいなのに。
まぁ、そこは置いといて、こっちも聞きたいことがあるんだ。
「こっちもいいか? 何で皆が拍手しない中、お前だけ拍手してたんだ?」
「それが分からないんです。転生する前と後では特に何も変化はなかったのですが、人の声や歌などが聞くに耐えないのです。ですが、今日のあなたの歌だけはとても良い歌だと思えたのです」
どうしてだ? そんなことがあるのか?
沙喜の時には拍手してなかったよな? あいつは単に下手なだけか。
「そうだ。前にも言ったと思うけどそのかしこまったのはよしてくれよ」
「分かりました。略さん」
あんま変わってねー。
というか、沙喜のことは気づいてないみたいだな。とりあえず隠しとくか。
最初のコメントを投稿しよう!