精霊歌

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「そうなのか」 「やはり、あまり驚かない。あなたは何か知っているのではないですか?」  なっ! やられた。驚くのが自然だったな。 「生前、私は神を嫌っていました。ですが、死ぬ直前にその考えが変わりました。神に助けられたのだから」  あっ! 思い出したぞ! 俺が以前下界に来たときに助けたやつか? 正確にいえば助けられなかったのだが......。  でも、あのときは顔は見せなかったんだけどな。 「その表情。やはりあなたがあのときの神なのですね」  何でバレたんだ! 何も怪しいことはしてないはず。 「でも、どうしてわかったんだ?」 「あなたはその時の神に雰囲気が同じだった」  そんなことでバレるのかよ。どうしたもんかな。これで俺を手玉にとろうとしてんのか? ここまできたら仕方ないな。 「安心してください。誰にも告げ口はしませんから」  そうなのか? 何でだ? 「どうしてだ? 何を企んでいる?」 「言ったはずです。嫌いなのは変わったのです。今度はあなたの力になりたい」  分からない。俺はあいつを助けられなかったのに、力になりたいだって? 俺は感謝されるどころか恨まれるぐらいなのに。  まぁ、そこは置いといて、こっちも聞きたいことがあるんだ。 「こっちもいいか? 何で皆が拍手しない中、お前だけ拍手してたんだ?」 「それが分からないんです。転生する前と後では特に何も変化はなかったのですが、人の声や歌などが聞くに耐えないのです。ですが、今日のあなたの歌だけはとても良い歌だと思えたのです」  どうしてだ? そんなことがあるのか?  沙喜の時には拍手してなかったよな? あいつは単に下手なだけか。 「そうだ。前にも言ったと思うけどそのかしこまったのはよしてくれよ」 「分かりました。略さん」  あんま変わってねー。  というか、沙喜のことは気づいてないみたいだな。とりあえず隠しとくか。
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