神は初日でダウンしない

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神は初日でダウンしない

 俺たちには解決すべき問題が二つほどにある。その内の一つはこれからじっくりと腰を据えて取り組めばいいものだ。しかし、もう一方は早急に打開策を考えださねばならないだろう。体のつくり的にほとんど人間になってしまった俺たちは、当然ながら衣食住が必要不可欠である。そして、今現在俺たちには、そのどれもが不足しているのだ! 「……雪の聖霊に関しては追々調査していくとして、今日はどこに泊まる? もう暗くなっちゃたよ」  俺は薄暗いをとうに通り越して真っ暗な街の外れで、同じく暗い顔をした沙喜にアイディアを求めた。 「宿に泊まるのが妥当でしょうが……お金がありませんね」  沙喜はテール・スカートにくるまれた足を抱え込んで、寒さを凌ごうとしている。 「この世界では、討伐指定の魔物を倒せば報奨金がギルドから支給されるそうだ」  いわゆる冒険者という職業の人々はそれで生活しているらしい。 「明日からはそうしましょう。でも今夜はもうギルドが閉まってしまっています……」  だから困っているのだ。 「火属性の魔法が使えたらなぁ」 「ホントですよ。なんで使えないんですか」  そういう沙喜も使えていないではないか……。ってそんなことはどうでもいい。それより今夜だ。真冬じゃなかっただけありがたいが、ようやく春になったばっかりの空気は想像以上に冷たい。どうにかしなければ、低体温症にでもなってしまいそうだ。 「先輩、くっついてもいいですか?」  沙喜の目には若干の下心が見え隠れしたしたような気がしないでもないが、こっちとしてももはやそんなことを言っていられる状況ではなかった。 「ああ頼む。そうしてくれ」  沙喜は民家の塀にもたれかかっている俺に四つん這いで近づき、横にぴったりとくっついた。 「あぁ、先輩に抱かれてこの世を去れるなら満足です……」  とろけるようなまなざしを向けた後、沙喜は静かに目を閉じた。 「おい! まて、俺たちは神だぞ。初日でダウンとかありえないだろ!!」  なんて、実際のところ俺も瞼が過去最高級に重かったのだが。  懐かしい天界での日々。所かまわずくっついてきた沙喜を思い出す。すぐ近くで今まさにくっついている沙喜の香りがそれを思い起こさせるのだろう。  そんな、意識だけが半ば天界に帰りかけていた時だった……!
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