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「何やってんだ? お前たち」
それは俺らが入ったクラスの担任の教師だった。長く艶のある黒髪は女性のそれを思わせる。年齢は三十台半ばといった所だろうか。髪の印象に反して整っていながらもどこか険しく、そして厳しいその顔立ちは歴戦の戦士を感じさせた。
「「ライル先生!」」
俺たちは人間というものの暖かさを、この時初めて知ったのかもしれない。
「よかったら、今晩はうちで泊まるか?」
ライル先生は俺たちを目で観察しながらそう言った。その表情は常に変わらず、今も驚きもしていない。
「……お願いします」
ライル先生は俺の言葉を聞くと、塀の中にある簡易なレンガ造りの建物を指さしてただ一言
「ついてこい」
と言った。
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