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「そうですね。で、これからどうします?」
「だれか誤作動に気づいて迎えに来るだろ」
これだけの事故だ。すぐに他の神々が気づいてくれるだろうと、些か希望の入った考えに落ち着いた俺はあたりを見回す。どうやら今さっき送り出した転生者の世界に来てしまったらしい。この世界にはたしか魔王がいて勇者がいて……一周させた視線を元に戻すと、そこのには不満げな顔をした沙喜がいた。
「なんでそんな顔してんだ?」
「下界で先輩とラブラブな生活を送るのも悪くないと思いまして……迎えなんて来なくてもいいのに」
沙喜は顔を赤らめて、若干上目遣いで俺を見つめていた。…………悪くない。悪くないな地上の生活!! お仕事サボって二人暮らし、いいじゃないっすか!
――――と、俺が妄想の、いや、未来の世界に思いを馳せていると、どこからか「ヒュッ」という、かすれた笛のような音がした。
「先輩! 危ないです!」
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