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手紙の内容はこうだ。
『生きていると、多くのトラブル、思いがけない事故に見舞われる。長年生きてきた私はそれがよくわかる。今回のことも決して、そなた等のミスではない。気に病むことはない。今回の事件なんて早々に忘れてしまうのが良いだろう』
突然、同情し慰めてきた。別に気に病んでなんかないのに。
『だから、当然ながら私も悪くない。今回のことも私は全く悪くないのだ』
何この人、あんたこの件に関わってんの? ねえ?
『……例え、昼休みのうちに魔法陣弄って遊んでいたとしても悪くないし、神晶石しんしょうせきをこぼしたコーヒーで汚したとしても悪くない』
あ、そんなことしてたんですね、と沙喜がほほ笑んだ。その微笑みは怒っているようにも感謝しているようにも見えた。――神晶石って転生魔法の要じゃねえか
『あ、そうそう、なかなかトラブル復旧できないみたいだから、下界の情勢を調査しといて。籠手とお金送ってあげたから』
「つまり下界で二人きりの生活を送れということですね!」
なんか内容を曲解した沙喜は、そのテール・スカートをひらひらさせて、子供のようにはしゃぎ始めた。
「それもそうだな……」
どうすることもできない以上、怒ったり悩んでも仕方がないなと、ポジティブな思考に切り替えた俺は、槍を真っ二つにたたき折ることにより、この件に終止符を打ったのであった。
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