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イントロダクション 倍率ドン?
ようやくだ。ようやく俺が認められる日が来た。さきほど届いたメールを見ながら、俺は何度も何度も自分に向かってガッツポーズを決めていた。
発明家に、俺はなる! と言い放って会社を辞めてすでに7年が経つ。年もすでに40を越えた。その間に俺が取得した特許は、IT関連だけでも30を越える。
しかしそのほとんどは、ネタ特許としか受け取られていなかった。どれだけサイトで募集をかけてもクラウドで募集しても、事業化しようという企業も出資してくれる人も現れなかったのだ。
それが今日、ようやくひとつだけだが製品化したいという相手が現れたのだ。その特許はカサだ。
カサは雨の多い日本では必須のアイテムだ。しかし、それにしてはこの数千年ものあいだ、ほとんど進化をしていない。
カサを差していたのに雨に濡れた、ということをだれもが経験しているだろう。現在のカサは「ある程度」の雨を防ぐぐらいの能力しかない。
そこで俺は考えた。暴風雨を防ぐカサはないので諦めよう。そんな日は外に出なきゃいいだろ。
しかし日本に降る雨の8割(日数の割合)は降水量が3mm以下なのである。その3mm以下の雨をターゲットにしようと。
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