第3話 めっき

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第3話 めっき

「これが、お、俺? うっそぉ?!」 「自分を鏡で見て何がウソだよ。そんな面倒くさいウソを誰がつくっていうんだよ」  俺は混乱している。通じない話。腰に剣を差した女子高生(っぽい子)。俺を子供扱いするこの連中を俺はひとりも知らない。VSOPではなくウイルとかいう酒。そしてこの俺の顔。身長。髪型。  俺だって現代に生きる人間だ。ラノベだって多数読んでいる。そろそろ気づくべきときが来たのだ。  鏡は、左右を反対にすることはあっても決してウソはつかない。これが、今の俺の真実なのだ。  ここは、俺がいた世界とは別のカラクリで成り立つ世界。そう、あの有名な「異世界」なのだ。しかも別の誰かと入れ替わったということを、俺は受け止めないといけないのだろう。  まだまだ疑問は多い。見た目中学生ぐらいの俺が居酒屋で酒を飲んでいたこと。どこかに務めていたらしいこと。それに対して誰も咎めようともしないこと。俺の言葉がそのまま通じていること。俺はこのユウという少年と入れ替わったのか上書きされたのか。     
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