第3話 めっき

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 そういう設定は、後から追い追い分かるようになるであろう。だからここでは追求しない。設定説明が面倒くさいからサボっているわけじゃないんだからね?  ということで自分を納得させて俺は考える。ここが異世界だとして、今の俺がしなければいけないことは何だろう。  それは簡単だ。この世界について知ることだ。周りの様子からして、どうやったら帰ることができるのかを聞いても答えられるとは思えない。  そもそも俺を誰かと勘違いしている人たちに、どこへ帰るのだと言われたら答えようがない。  それならば、ここはひとつ。 「じゃあ、記憶喪失ってことで?」  じゃあって何だよ! 自分で言うな!! と全員に思い切り罵倒された。くっ、そんなことぐらいで負けるもんか。あ、そうだ! 「で、困っていることっていったい何だ?」  はっ、と皆が我に返る音がした。これは我ながら名案であった。うまいぐらいに話の腰が折れた。 「そうだった、それを言うためにここに連れてきたんだ」 「いったい俺に何をさせようと」 「あんたは、めっきに詳しいそうだな」  めっき? 詳しいかだと? それはどうだろう。こちらの人の知的水準が分からないから、詳しいよと言ってしまって良いものだろうか。  それよりこの人たちの言うめっきは、本当に俺の知っているめっきのことなのか。メッキ、鍍金。このめっきだよな?     
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