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第5話 乳揉む権利?
「まあ、そんなことはどうでも良いとしてだな」
まるまる1話かけた俺の自己紹介がそんなことにされた。
「まずは、話を聞いてくれ」
ソウが言った。最初からこいつだけは、俺に対して礼儀正しい。俺が12才ならもっと上からの言葉になりそうなものだが、どこか鷹揚で好感が持てるやつだ。手伝ってやろうかな、という気にもなる。
「ふん、どうせこんなやつにできやせんよ。ワシらがどれだけ苦労したと思ってんだ」
このじじいだったら、最初から断ってたな。だが断る、ってセリフを言ってみたかったなぁ。通じないだろうけど。
「ユウって昔っから気分屋だよね。気が乗らないとただの穀潰しだし、いつ気分が乗るのかまったく分からない。こんなの雇ってソウは大丈夫か」
この子はあとで泣くほど乳を揉んでやる。
「この剣にめっきをすれば良いだけだろ? それがどうして問題になったんだ?」
「この剣ならなんとかなるんだ。だが、それが実はこういうやつでな」
と言って足下からなにやら取り出して、机の上に置いた。それは、レイピアよりももっと太い剣であった。
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