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近くでコスプレ大会でもあったのだろうか。本物だったら銃刀法違反だろうが、そんなことがあり得るはずはない。良くできた模造品であろう。
しかしさらに不思議なのは、その姿に異を唱えるものが誰もいないことだ。ごく自然に彼女たちは中に入ってきた。そしてひとりが俺を見つけてこう言った。
「探したぞ、ユウ・シキミ。タケウチ工房がピンチなんだ。助けてやってくれ」
思わず振り向いて後ろを確認する。俺の知り合いではないことは間違いがない。それならたまたま俺の後ろにいる人が同姓同名で、その人に話しかけて……誰もいない?
「ふぁ?」
っておかしな言葉が出た。君はだれ? どうして俺の名前を知っている? ってかここはどこだ? タケウチなんとかってなんの話だ? 頭の中でグルグルとわき起った疑問を、ひとまとめにしたセリフだ。
通じるわけがない。
「酔ってるのか。酒は飲めないと言っていたようだったが。いいからまずは来い。話は歩きながらする」
「ふぁ?」
ダメだ、こんなセリフしか出てこない。本当に酔っているのか、俺。記憶がなくなるほど飲んだということか?
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