0人が本棚に入れています
本棚に追加
トモダチ
彼女と私は、入学早々のある日古びた図書館で偶然出逢った。
図書館の埃臭さを肌に感じながらも、私は何故かその図書館に惹き付けられ、毎日通った。好きな推理小説も充実していたその図書館に、惹き付けられるのも無理がないことなのかもしれないけれど。
今思えば、私は彼女に惹き付けられていたのかもしれない。
初めて彼女と出逢った日を、私は1度だって忘れたことはない。
それくらい、彼女は強かった。
▲
見掛けたことの無い推理小説を見つけた私は、思わずその本に手を伸ばした。
…!
すると、どうしたことだろうか。
彼女の手が、私の手に触れたのだ。ほんの_僅かではあったものの、その時の私は酷く胸騒ぎがしていた。
同級生とは思えない、大人っぽい佇まい。真っ赤な唇に、白い肌。艶のある腰まで伸びた黒い髪の毛は、私の高揚心を煽った。
その非現実的かつ、儚い彼女の雰囲気は、古びた図書館と良く合っていた。
"貴女も、好きなの?"
鈴がしゃんしゃんなる様に、彼女は軽やかに私に聞いた。
"うん…"
私は、頷いた。
それから、私と彼女の不思議な関係が始まった。
最初のコメントを投稿しよう!