トモダチ

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トモダチ

彼女と私は、入学早々のある日古びた図書館で偶然出逢った。 図書館の埃臭さを肌に感じながらも、私は何故かその図書館に惹き付けられ、毎日通った。好きな推理小説も充実していたその図書館に、惹き付けられるのも無理がないことなのかもしれないけれど。 今思えば、私は彼女に惹き付けられていたのかもしれない。 初めて彼女と出逢った日を、私は1度だって忘れたことはない。 それくらい、彼女は強かった。 ▲ 見掛けたことの無い推理小説を見つけた私は、思わずその本に手を伸ばした。 …! すると、どうしたことだろうか。 彼女の手が、私の手に触れたのだ。ほんの_僅かではあったものの、その時の私は酷く胸騒ぎがしていた。 同級生とは思えない、大人っぽい佇まい。真っ赤な唇に、白い肌。艶のある腰まで伸びた黒い髪の毛は、私の高揚心を煽った。 その非現実的かつ、儚い彼女の雰囲気は、古びた図書館と良く合っていた。 "貴女も、好きなの?" 鈴がしゃんしゃんなる様に、彼女は軽やかに私に聞いた。 "うん…" 私は、頷いた。 それから、私と彼女の不思議な関係が始まった。
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