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声は沈むように僕の耳に降りてきた。体はその言葉を吸収して重さを増しますます僕は訳がわからなくなる。
「今までありがとう。さようなら。君と話したいろんなことを私は忘れないよ」
イズミは一体何を言っているんだろう。姿も見せないで声だけなんて一体何を考えているんだ。お別れってなんだ。さようならってなんだ。僕はイズミに会いたかったのに。
僕はイズミが好きなのに。
そこまで思ったときにはイズミの声は聞こえなかった。もちろん姿も見ることはなかった。
それから僕は病院で目が覚めた。日付はとっくに変わっていて次の日になっていた。
聞くところによると家の裏にある木の枝が落ちてきてそれが頭に当たり気を失っていたところを朝家族が発見したということだった。
絵にかいたようなケガをして家族からは「夜中になんで外に出たんだ」と怒られ「でも無事でよかった」と泣かれた。
イズミのことを話すわけにもいかずどうにかごまかして「寝ぼけて外に出てしまった」という自分でも信じられないことを言って納得させた。
気を失ったもののケガ自体は大したことはなく翌日に退院することができ、退院して早速僕はイズミの木のもとへ行った。
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