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僕はイズミを小さいころから親しんでいて両親やほかの家族がイズミの存在を認識できないことをずいぶん早くから知っていた。というか初めからなんとなくわかっていた。
霊感もその他の特別な力も持っていないけれどイズミと話せることはうれしく楽しかった。
「イズミは美人だよね」
僕が中学生の時にイズミにそう言うとイズミは透明な瞳を大きく見開いて首を傾げた。
「美人…?とは」
「美人は美人だよ。男でも女でもない感じだけど髪はきれいに伸びているし、肌は白いし着ているものは真っ白で柔らかそうだし。それがすごく似合っているよ」
イズミの見た目は人間に近いけど髪の毛は透き通った色で腰の下までのびていて、肌は雪よりも白く光っていた。それに加え瞳の透明度は底をしらない。
きれいな人だなと美人だなと僕は小さいころから思っていた。でも口に出したのはその時が初めてでイズミは容姿を褒められたことを実感できないでいるようだった。
「私は人間ではないから容姿を褒められてもピンとこないのだよ。いきなりおかしなことを言うな。リョウヘイは」
「そうかな。誰が見てもそういうと思うよ」
イズミはきれいだ。美人だ。中学生の僕が誰かをそう褒めるのはとても勇気がいることだった。それは今もそうだけどイズミに言った時ほどの緊張をいまだに知らない。
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