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鈍感な心と真夜中の住人
僕が住む家の裏側には大きな木がある。何の木かは知らないけれど大きく手を広げるように伸びている枝や、朽ちることを知らない緑の葉は見ていて一種の恐怖のようなものを抱かせた。
他にも木がそびえたつ中その木だけは主のようにそこに立っていた。
高さは五メートル以上はあるだろう。僕が小さなころも充分大きかったけど年々大きくなっているようだ。見慣れているのにいまだに上のほうがどうなっているのかは大きすぎてわからないほどだった。
「見えなくて当然。君は人間なんだから背が伸びるのも視力も限度があるだろう」
「そうだけど、一体どれくらい大きくなるんだ?こんなに大きな木はそうそうないよ」
「それはそうだ。だってこの木には私が住んでいるんだから」
そういって僕と話すのはこの大きな木が芽生えた時から住むこの木の住人だった。名前はイズミと言った。
木に住むというのは木に家を作ってそこに人間が住むということではなく、イズミはいわゆる木の神様のような精霊のようなそういう存在だ。
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