誰かが月が綺麗ですねとか言うもんだから、

「……束縛激しい系人類」

　二人目の彼氏、もう元彼氏。

「うへぇ、無理」

　レン君は友達、高校の時からの。

「同じ。話し合ったけど破綻したの」

　缶のプルタブの音。

「何されたん？」

　バス停のベンチ。

「端的に言うと管理。いついつどこどこ誰々と何した報告制の、よくあるやつ」

　夏の生温い風。

「よくあってたまるか」

　ため息と乾いた笑い。

「最初はよかったんだよ」

　酔い熱を冷ますオレンジ味。

「ふぅん」

　興味なさげの返事。

「あたしの事好きなんだなぁとか、一緒の時間作ってくれてんだなぁとかさ」

　汗を含んだ襟足。