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社会的なブームと呼ぶにも驚異的なほど、彼女は崇められ、影響力を発した。
だがわかるのは、ネットワーク上のHNと、個人サイトへのアクセスだけ。
マスコミや雑誌記者などのメディア、ネットに住まう分析班、各地に特化した探偵達。
それらの人々が、手をこまねいていたわけではない。
彼女は、なにから投稿しているのか。
撮影場所は、いったいどこなのか。
集音しているマイクは、どこのメーカーなのか。
住んでいる家は、一人なのか。
家族となのか、恋人となのか。
はたまた、猫派なのか犬派なのか、布団派なのかベッド派なのか……など。
数え切れないほどの些細なことにまで、ネットワーク上の推測が、次々と生まれていった。
――語らぬことにより、彼女は無限大の可能性を、見る者に感じさせたのだ。
しかし、推測だけでは満足しない者達もいる。
真実を求め、探求し、事実を書き留めようとする人々。
あらゆる人脈とのつながりを持つ、敏腕の雑誌記者。
未確認の犯人すら特定する、ネットワークの猛者。
だが、どうしたことか。
世論を変える情報を、いくつも持っている彼ら。
だがそれでも、真呼美が今どこにいるのか、なにをしているのか、把握することができなかった。
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