セルジ・レルジは夜を結ぶ。

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「真夜中に行きたいの」 青く燃える小鳥を掲げる魔女は、深く夜色が染み込んでしまったような表情をする。緑の瞳だけぴかぴか光った。 「……は、」 「ここには、真夜中があるでしょう」 「……」 「……分からないよね」 たんッ、と杖を地面に打ち付ける。魔女はくるくる髪の毛を指に巻き付けながら視線をそらした。 「んん。どうしようかな……」 「……なんか、ほかの人にでも聞いてみたら」 「いいえ。これはちょっと予言なので、変えられないというか、変えたくないというか。というか、ねっ、こーんな深夜に、ほかの人がいると思う?」 「いや」 「びーっくりするくらい誰もいないんだもの。まだ日付も変わってないのに。なあに、ここの人って、夜が嫌い?」 「うん」 「……そぉ。残念」 はぁ、と僕はため息をついた。街灯にはぶんぶん虫が集っているのに、燃える小鳥の周りにはなにも寄ってこない。 「まあ、いいよ。行こう」 「いいの、大丈夫? もう深夜だけど」 「まぁ、ヘーキ。行こう。真夜中探し」 魔女はびっくりするくらいあけっぴろげに笑った。           * 道案内とか言ったくせして、魔女は僕の前をこつこつブーツを鳴らしながら歩いていく。長くて黒いローブがばさばさ揺れる。 僕の住んでいる町というのは途方もなく田舎なので、日付が変わる時間帯になると歩行者も車も馬車もホウキもない。 そういえば、と僕は口を開く。 「魔女なのにホウキで飛ばないの」 「ええ。歩く方が好きでね。そしたらホウキにへそ曲げられちゃった。ホウキにへそなんてないんだけどーっ」
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