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学校でも身体の不調は続いていた。給食もあまり食べられず残してしまっているのを、友達の聞田ミミに指摘された。
「ハム美!給食残してるジャン!また背が伸びなくなっちゃうわよ!」
「ミミ!余計なお世話!それにハム美じゃなくては・る・み!!」
ミミは小動物を可愛がるかのように私を後ろから抱きしめて頭をなでた。彼女のスキンシップはけっこうはげしく、小柄な私は振り回されっぱなしだった。
「だってーハムスターみたいにカワイイんだもんハム美はーー!あーかわいいかわいい!!」
ツインテールをぴょこぴょこ動かされたり、頭を好き勝手になでられ本当に愛玩動物の如き扱いをうけてしまう。毎度の事だと私も諦めてしまいなすがままにされていた。
「ちょっと最近夏バテ気味でね・・・」
「ほんとだ、顔色があんまりよくないよ、保健室行こうか?」
ミミの言葉にだるく頷いた私は、一緒に保健室へ行くことにした。少し意識が朦朧といるせいか、廊下をフラフラと歩いていると、曲がり角で誰かにぶつかってしまった。
「キャッ!」
弱弱しく尻餅をつくと、目の前には、女の子をゾロゾロと従えた男子、学校1のイケメンといわれている金福寺晃が立っていた。
「大丈夫かい?子ネズミちゃん?前をよく見てないと危ないよ?」
と言われ手を差し伸べられたが、その手をミミは払いのけた。
「ぶつかってきたのはそっちじゃないの金福寺!?」
「ミミ!」
ミミは学校1のイケメンに興味は無いらしく、私を立たせると、金福寺を睨み返した。自分を威嚇する姿に金福寺は肩をすくめてオーバーに手を振る。
「おお怖い!」
すかさず、金福寺の取り巻きが甲高い声で騒ぎ出す。
「そっちがぶつかってきたんじゃないの!」
「金福寺様にふれたくてわざとぶつかってきたんじゃないの!?」
金属のような声に私は頭が痛くなった。
どうもこの手の女子達は苦手だ。顔色の悪い私を見てミミは私を支えてこの場から連れ出してくれた。
遠くの方でまだキンキン騒いでいるが、そんなことはどうでもよいぐらい気分が悪くなった。
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