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「飲みなさい。少し楽になるだろうから」
見ず知らずの人に謎の液体を渡されてオドオドしている私を見て男の人はクスリと笑った。
「大丈夫毒なんか入ってないから」
そういわれて、私は意を決して液体をぐいっと飲み干した。味はとくにない何の変哲のない水だと思ったが、何故だが肩が軽くなった気がした。
「なんか・・・気分が良くなりました!ありがとうございます!」
「いやいや、君は"ついてる"からね・・・」
(『ついてる』ってラッキーって意味なのかな。確かにこんなカッコイイ人に出会えたのもラッキーだし、身体もちょっと良くなったみたい。)
「そうですか・・・?」
私は曖昧な返事をしていると、また何やら懐から取り出した。
「あと、これをもっていきなさい。」
そういって男の人が取り出したのは黄金色に輝くニボシだった。こんなニボシは初めて見た。しばらく男の人の手の上で輝くニボシを見ていると、男の人の手が私の手を取って、ニボシを手渡した。
「このニボシは特別製でね。君の一番信頼する猫にあげなさい。きっと貴方の助けになる。」
そういうと男の人はその場から立ち去ろうとする。私は慌ててお礼と、名前を聞こうとした。何故だかまた会ってみたいと思ったからだった。
「あのっ!ありがとうございます!貴方のお名前は・・・?」
「私は港の近くで猫専門のペットショップを経営してます。気が向いたら遊びに来てくださいね」
そういうと、私の手にはニボシと名刺が握らされていた。輝くニボシは人間の私でも香ばしく良い香りがし、美味しそうに思えた。アリーナにあげたらきっと喜ぶだろうと思い、御礼を言おうと顔を上げた。
「あの・・・・!?」
前を向いた時には、もう既にその場に男の人はいなかった。不思議で、とてもきれいな人だったな・・・と私は帰り道を夢見心地で歩いていった。
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