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家に着くと、今日はめずらしく、アリーナが玄関に迎えにでてきてくれていた。
「ひさしぶりに迎えにきてくれたの?」
と聞くと、急に鼻をひくつかせ、ニャーニャー大きな声で鳴き出した。おなかがすいているのかと思い、先ほどのニボシを思い出す。
「あ、もしかしてこれが欲しいの?」
ニボシを見せるとアリーナは一瞬でニボシを加え、唖然としている私を置いてぴゅーっと走り去ってしまった。
「よっぽどおなかがすいてたのね・・・」
「あら、どうしたの早いじゃない?」
母が台所から出てくると私は自分が早退したことを思い出した。
「ちょっと体調が悪くて、早退してきたの。部屋で寝てるね・・・」
「あら、お医者さんとかいかなくていいの?」
母が心配そうに聞いてきた。
「学校で薬もらって・・・・・ちょっと楽になったから大丈夫」
私はなぜか公園の男の人の事は話さなかった。何故だか分からないが秘密にしておきたくなったのだ。
鞄を机の上に置き、制服のままベットへねっころがると、急に睡魔に襲われる。ここ数日感あまりよく眠れてなかったから眠くなってきたのだろうと思った。
うっすらと意識が遠のく刹那、部屋の端に、もぞもぞと動く何かが入った。
「な、何?」
私は身体を起こそうとしたが、なぜか手足、指一本も身体が動かせなかった。
俗に言う金縛りというやつだ。
私の身体が動かないのをいいことに、部屋の端で蠢いていた何かが私の傍まで近づいてくる。言いようの無い寒気が全身を走った。
蠢く物は黒く紫のオーラをゆらゆらと揺らして動かない私の身体へのしかかる。
「嫌っ・・・!」
顔をそむけようとしても首もうごかせず、蠢く物が私の喉元に這いより緩やかに首をしめあげようとした時だった。
「晴美!大丈夫か!!」
部屋の扉が勢いよく開いた。現れたのは見たことも無いスーツを着た青年だった。
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