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母親とかばあちゃんとか、ブツブツ言いよったけど隣の部屋に布団を敷いてくれたと。
「ちょっと寝り」
母親がうちわで僕をあおいでくれよってさ、寝付くまでいてくれよって、僕はすぐにうつらうつらした。
まだ早い時間やったけん、熟睡まではせんかったけど、うつらうつらしながら大人たちの声を聞いているのは、経験がある人には分かると思うんやけど、妙に心地が良いったいね。
時々、襖が開いて様子を見てくれているのも、分かっとったし。
やけん、その時襖が開いたのも誰か様子を見に来たと思ったとよ。
でも、何か変やった。
大人の気配じゃないと。でもいとこや兄弟が来た様子でもない。
怖くなって、うっすら目を開けるとね。
そこにいたのは坊主頭で、紺の浴衣を来た同じ年くらいの男の子やった。片手にはスイカがのったお皿を持っとった。白くて、見慣れんお皿やった。
誰やろ、近所の子かいな、と声をかけようとしたんやけど、子供ながらに、何か異様な雰囲気を感じてやろうね、思わず口をつぐんだったい。
顔がね、顔の真ん中がくろーくて、渦巻いとるような感じで顔が見えんかったと。怖くなってしまって。
思わず寝たふりをしたとよ。
したら男の子は、僕の横にスッと座って、じぃぃぃいっと僕を見よると。目ぇ開けんでも分かる。
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