真夜中の街

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私は公園を出た。私の記憶は少しずつ戻ってきていた。しかしそれが本物か偽りのものか判断できなかった。私の足は勝手に動き、いつのまにか自分の家に着いていた。 いつから住んでいるかも分からない、古民家に。 「おかえりなさい」 家に入ると、どこからか声が聞こえた。 「ただいま」 私はいつものように返すと、そのまま眠りについていた。 時刻は午前5時。起きても、外は暗闇だった。 それが当たり前なんだ。 私の心は不思議と心地よかった。 今まで何を悩んでいたんだ。 私はいつものように支度をし、昨日の公園に足を運んだ。すると公園の真ん中にある木で、一人の男が首を吊っていた。昨日会話をしたホームレスだった。母親に抱かれる赤子のように、安心した笑顔をしていた。 公園の周りには昨日とは違い多くの人がいたが、誰一人その自殺に騒ぐ人間などいない。 当たり前なんだ。受け入れればいいだけ。 私は群衆に交じり、目的地のない道を歩き出した。 昔から住んでいた気がするこの狂った街を、少しだけ好きになれた気がした。
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