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「紳太郎さん!」
自分の事を仲間と呼んでくれる紳太郎の手をキャスパーは嬉しそうに握った
「相変わらず甘いな、お前は」
紳太郎の言葉に観念したのか、シャマはキャスパーにグラスを向ける
「この町で変な事を起こせば、私が殺しに行くからな?」
「ははは、それは怖いですね、肝に銘じます」
「あ……」
紳太郎は気付いてしまった、時計を見ると、すでに午前2時を過ぎてしまっていた
「マズイ!これ以上は明日に支障が出る!!」
「そんな時間か、なら、急ぎ帰らねばな」
「え……、もう帰ってしまうんですか?」
「明日は大事な継承式だからね、悪いね、キャスパー」
紳太郎たちは立ち上がり、勘定を済ませ店から出て行く
そして、馬車に乗った二人を見送ろうとキャスパーが店の前まで付いてきた
「また明日お会いしましょう!お二人とも!」
「ああ!またいつか飲み直そう!」
「……」
シャマは何も言わなかったが、軽く手を振って挨拶に応えた
「あんな吸血鬼、初めて見たよ」
紳太郎はキャスパーの感想を述べる
「ふん、吸血鬼も平和になった途端に牙が抜けたか、情けないヤツめ」
「まあまあ」
傲慢さが消えた吸血鬼など、吸血鬼ではないと言い放つシャマを宥める、酔いが回っているのだろうか、いつもより喋るシャマ
「何が起こっても、たるるさまとめるるさまはわらひがまもうんら~」
「あーあーあー、もう、あとから酔いが回るんだから」
完全に気が抜けた途端にこれまで飲んできた酒のアルコールがシャマを襲った
そんな彼女を紳太郎がベッドまで運ぶのは二人で飲みに行った時のお決まりだ
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