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城の中では妖精や小人たちが継承式の準備に取り掛かっていた、それを指揮するのは紳太郎だ
魔法を使えない紳太郎だが、キルルから始まった歴代の魔王たちの継承式に全て参加している彼ならではの手際の良さから、作業に取り掛かっていた魔法を使える者たちも滞りなく順調に会場づくりを終えていく
「よし、あとは料理だけだなっと」
料理も自ら指揮を執る、昨晩飲みに行った酒場のサキュバスたちも手伝いに来てくれた
城にいる料理人だけでは賄えない量の人数分、だが、助力もあってか間に合いそうだ
「ふぅーっ」
夕暮れ前、ようやく息つく暇が出来た紳太郎がソファーに座り込むと、シャマがいつの間にか前のソファーに座り込んでいた
「うぉ、いつの間に」
「こういう日ほど、魔族の出入りが激しくなる……、怪しいヤツには警戒しろ」
「ああ、わかってるさ」
と、腰に下がっている銃をポンッと叩いて見せた
「私はメルル様の傍にいる、何かあれば死んでも叫べ」
「ははは、死んでも、ね」
不死の身である紳太郎にとって、死は無縁な物だ、が、何か起これば真っ先にシャマに知らせるつもりでいた、自分が彼女の足元にも及ばない事を知っているからだ
「魔族同士で争うなんてことがないよう、祈ろう」
「それが一番だな……」
「シャマー!紳太郎ー!」
二人を呼ぶのはメルルだ、振り向くと彼女は赤いマントを羽織っていた、装いも美しい装飾の衣装を身に纏っていた、そして、その傍にはタルルも居た
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