メルル・ミュ・バルニアの魔王継承式

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「さーて!みんな!準備は良いな!?」 「「「はーい!」」」 妖精たちには配置に着いてもらっていた、これでいつでも花火を発射できる、双眼鏡で会場の様子を逐一確認しながら紳太郎も発射に備えていた 「おや、此処に居たんだね、執事様」 「あれ、君は…」 「昨日はどうも!」 美味しそうな御馳走を持って現れたのは酒場のサキュバスの店主だ 「何も食べてないって聞いてたからね、持ってきてあげたよ!」 「助かるよっ!いやぁ~、ずっと気が抜けなくてね、あむ」 「「「「「わー!ごはんだー!!」」」」」 嬉しそうに御馳走のマスカットを一粒づつ運ぶ妖精たち、彼らはこれで足りてしまうのだ そんな中でサンドイッチを摘まみながら会場を見る紳太郎、彼に近付くサキュバスが耳元で妖艶に囁き始めた 「ところでさぁ、執事様ぁ」 「ご、ごめん、今はちょっと忙しいから…」 流石に大事な花火の打ち上げ担当、気が抜けない為にサキュバスの誘惑を断ち切ろうとした時だ 「大事な話があるんだ、このまま聞いとくれ」 「え…」 声は一瞬にして真剣な物へと変わったサキュバス、余程、他の者に聞かれたくないのか、表情は妖艶なまま静かに言った 「うちの店の子がね、町の外れに変な魔物を見かけたって話があったんだ」 「変な魔物?」 「ここらじゃ見かけない……、人型種の……、もしかしたら密航者かもしれない」 「……わかった」 紳太郎はその言葉に大体の察しが付いていた 恐らくは『新魔王反対派』の存在だ、新魔王としては異例の若さでのメルルの継承に反対する者たちを主にこう呼んでいる 「シルフ、警備兵に警戒をさらに厳重にするように伝えてくれ」 「はーい!執事様!!」 風の妖精、シルフに紳太郎は頼むと各所の警備兵、そしてシャマの耳に伝わった 「反対派の連中が暴れなきゃいいけど……」 「その時はメルル様の腕の見せ所さ、タルル様の時だって乗り越えられたんだ、きっと大丈夫さ」 継承式を狙った次期魔王の座を狙う者たちの襲撃を経験していた紳太郎、反対派が近付いてきている可能性があるというのに落ち着いた様子で指揮を執る彼にサキュバスは驚いていた 「こんなに頼もしい人間、初めて見るよ」 「そうでもないよ、皆の力が無きゃ何も出来ないしさ、…って」 頬に軽くキスをするサキュバスに驚いた 「ふふふ、頑張ってね、執事様!ほら、よそ見しない!」 「は、はい!」
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