メルル・ミュ・バルニアの魔王継承式

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会場は静まり返り、城の中心部にそびえる壇上に上がるシャマは両手を掲げ、指揮用に造られた装飾が施された仮面から露出する美しい口を広げ高らかに言い放った 「これより、新魔王継承の儀を行う!!」 魔族たちは視線を壇上に上がるタルルに移す、彼女が祈りを捧げると魔族たちはが皆、共に祈りを捧げる 「この世界に住まう全ての魔族の繁栄と祝福を願う、我は魔族の守護者、タルル・テ・バルニア、我が力を、そして我が勇気を、そして、我が同胞たちとの絆を、我がバルニアの血族たるメルル・ミュ・バルニアに継承せん」 「……」 タルルのすぐ後ろで、メルルが母と同じように祈りを捧げる 魔族たちは手を差し出し、その手に祈りの光を捧げる、光はタルルの元へ集まり、タルルの捧げた手に輝く光と交わり合う 虹色となった光を、壇上に上がったメルルが受け取り、彼女は高らかに言い放った 「我はメルル・ミュ・バルニア!我はタルル・テ・バルニアの子!次なる魔族の長を担いし守護者!我は誓う!魔族の更なる繁栄を!祝福を!我が命はこの世界に住まう魔族の為に!我が手は魔族を守る為に!我が足は魔族と共に新たな大地を駆ける為に!我は約束する!新たな魔王として、この世界の魔族たちを導くと!!」 虹色の光にメルルは魔力を注ぎ込み、両手を広げ光を空高く掲げた 光は大きく広がり、剣を持つ角の生えた天使の紋章が城の上空に照らされた、それこそがバルニア家の紋章であり、初代魔王、リルル・ラ・バルニアの姿を模したものなのだ 紋章が上空に浮かび上がったと同時に打ち上げられた花火がメルルが魔王継承を成就させた証として大きく輝き、魔族たちがそれを祝福する
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