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「大丈夫ですか! 強盗があったとの通報がありました」
バタバタと走りこんできた警察官たちは、店内の二人の様子に仰天した。
「大丈夫っす。ほんの今、塩多方面に向かいました」
谷がいつものように淡々と話す。
「また来ます」
そして彼らはパトカーに戻り、猛烈な勢いでサイレンと共に去っていった。
「…………」
ぽかんと口を開けたままの三木元。言葉が出てこない。
「オーナー、ハサミ、届いたっすか?」
谷の質問にやっと反応し、なんとかハサミを手に入れると、三木元は5重のガムテープを断ち切った。ベタベタを体から剥がしながら、三木元は安堵のため息を床に落とす。その横で谷はスマホの画面を見ていた。
「もしかして、谷くん。さっきの投稿した?」
「うす、ダチが気づいてくれたみたいっす」
スマホの画面には「マジ? ウケる。通報しとくけど、オーケー?」と書かれていた。
「最近の若者って、肝が据わってるんだね……」
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