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彼の車の助手席には武器が、後部座席には水やら食糧やらが積まれているが、二日間走り続けて食べ物は残り少なくなってきていた。どこかで食料を調達しなければと思いながら車を走らせていると、視界の端に、ぽつりと佇むダイナーが入った。
そこに食べ物があるかはわからないが、確認は無意味ではないだろう。彼はハンドルを切ると、近づいてきた建物とその前に広がる駐車場へ車を寄せた。
速度を落としながら、目を細めて建物の様子をうかがう。もし中に人間がいれば、それはメリットでなくリスクだ。白っぽいペンキを塗った壁は剥げかけて汚れており、窓ガラスには割れているものもあるが、いくつかの窓は布や家具で目張りされている。
Tは車を停めると、腰のベルトに差したままだったナイフを確かめ、助手席からショットガンを掴み取った。車から降りて小さなガススタンドの前を横切り、ダイナーへ近づく。
入り口の扉にはガラス窓が張られており、ちらりと覗くと、薄暗い店内のカウンターの上で、回っているファンが見えた。つまりここには人がいるということだ。こういう孤立した建物は独立した発電機を持っていることがあるので、ファンを回しているのはそこから引かれた電気だろうと彼は考えた。
彼は扉を押し開けた。軋む音とともに扉が開き、彼はゆっくりと足を踏み入れた。雑然とした店内は無人だった。
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