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王都の朝
夜明け前の草原は冷たい北風が吹きすさび、草木が海の波のように揺れていた。
その草原の海を僅かな轍（わだち）を頼りに一頭の馬が駆けていく。
馬には若い男が騎乗しており肩から大きめの革袋を下げている。
「もうすぐで、街道に出るぞ。」
そう言って男は馬の首を撫でると馬は少し速度を落とした。
黒毛の馬に乗ってる男は防寒用の手袋とマントに身を包んでいるが、吐く息は白く、馬の体からは湯気が上がっている。
しばらくすると風は治まり、東の空がにわかに明るくなってきた。
するとその先に草原の中を走る大陸街道が見えてきた。
「よ～し街道が見えてきたぞ相棒、王都まであと一息だ・・。」
「ヒヒ～ン！」
相棒と呼ばれた馬は主に答えるように一嘶き（いななき）すると街道に馬首を向けた。
しばらく街道を東へ進み小高い丘を登りきると、男の目的地であるアラベス王国の王都であるアルビオンの街が男の眼下に広がった。
街全体を城壁に囲まれた王都は、朝日を浴びて街全体が茜色に染まっていく。
「本当に美しい街だな・・。」
男は馬の脚を止め、毎朝その景色を眺めるのが日課になっていた。
「いけねえっ！、遅れちまう。」
時間を忘れて朝の景色を眺めていた男は慌てて馬にムチをいれ街に向かう街道を一気に駆け降りた。
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