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真夜中の足音に気付いたのは、今から半年以上も前のことだ。
その時の足音は、今のように軽快なものではなく、ひどく重くて不規則なものだった。
どすっどすっ……どすっ
なんだろう。
私は恐々とカーテンを細く開け、通りを眺めた。
そこには、私と同じ年頃の青年が一人、荒い息を吐きながら懸命に足を動かしていた。
なんだ、こんな夜にだけど、ジョギングか。
青年はかなり太っていて、少し走るだけでも苦しそうに肩で息をしている。
ダイエットかな、頑張れ。
そう考えただけで、私はその事に対する興味を失い、カーテンを閉めた。
次にカーテンを開けたのは、二ヶ月後だった。
すっかり日課となった深夜の足音が、少し変わってきたことに気付いたのだ。
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