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それからしばらく経ったある夜のこと。
なかなか足音が聞こえなくて、私は心配していた。
雨の日以外は毎日走っているのに、どうしたんだろう?
その日は結局、足音は聞こえなかった。
次の日、足音が聞こえたとたん、私はこっそり通りを覗いた。
街灯と自販機の灯りで照らされた道路には、だいぶすっきりとしてきた彼がゆっくりと走っていた。
どきりとしたのは、その横顔がひどく苦しげだったからだ。
まるで、今にも涙を流しそうな……。
「!」
その時、青年がこちらを見上げた。
一瞬目が合って、私は慌ててカーテンの影に隠れる。
心臓が跳ね回って落ち着かない。
しばらく待ってそっと通りを覗くと、彼はもういなかった。
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