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いつだってスキンシップはさりげない。真正面から目を合わせて話をするなんてことも、殆どない。ファミレスのテーブルで向かい合わせに座ると、テーブルに凭れてだらしなくうつ伏せになるか、頬付けを吐いて斜めに体を向け、何考えてるかわらない顔をして、気怠そうに腕時計を弄ったりスマホを眺めてる。そんな、猫みたいな彼が今日は珍しく自分から私にボディタッチをするなんて、これは地震の前触れだろうか。
デジタル時計は間もなく零時になった。
常に恋人を切らすことのなかったユキヤが、こんな時間帯に愚痴り相手の私を呼び出すとしたら、決まって彼女との別れを決断する時。察するに今回の彼女とも、半年持たなかったということだろう。いくら待っても話を切り出そうとしないユキヤに変わって、私から話を進めることに、決めた。
「それで、あの子とはどうなったの?」
「……あの子って?」
ユキヤは細い眉尻を挙げて、ギロリと鋭い視線を送ってきた。
「バイトの……」
「知らない。消えちゃった」
彼は涼しい顔をして、唇だけで微笑んで見せる。でもまだ、神経質そうに眉間に皺を刻んで、今度は前を睨みつけるとまたアクセルを踏んだ。
不機嫌そうにしているけれど、ユキヤという男は無責任で軽薄な上、何人もの女の子をたぶらかして一通りのお楽しみを済ませると、「なんかしっくりこないんだよね」などと平然と切り捨ててしまう、文字通り狡くて傲慢で救いようのない自分勝手な男。
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