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真一はその夜眠れなかった。
尿瓶代わりのペットボトルからこぼれたものがまだ乾いていないせいかもしれないし、昼間に少し眠ってしまったからかもしれない。
そもそも縛り上げられて、監禁されているせいかも。
(こいつはずっと俺を縛り付けたままにするだろうか――)
その答えは限りなくYESに近い気がした。
真一が身動ぎも出来ず天井を見詰めていると、足元で何かが動いている気配があった。
それは徐々に上へ向かってくる――そして腰の辺りで止まった。
真一の露出している部分に生暖かい息がかかる。
真一は恐怖しか感じなかったが、そこだけは違った。
真一の一部は珠緒の呼び出しに応じ、立ち上がる。
珠緒はその姿に満足すると真一にまたがった。
真っ暗な寝室で真っ黒な影の塊が真一に覆いかぶさり、蠢いている。
急に真一は自分が起きている事を、珠緒に悟られるのが怖くなってきた。
ギュッと瞼を閉じ、身じろぎしないように心がける。
真一は早く終わって欲しいと思い、すぐにその考えを打ち消した。
(そうか――そう言う事か!)
珠緒が求めているものに気が付き、真一は全身が震えるのを感じた。
そして、決して終わりを迎えない様にと抗い始める。
そんな気持ちとは裏腹に真一の体は徐々に終息へと向かっていた。
珠緒に起きている事がバレようとも、最後だけは珠緒の中から逃げ出そうと身をよじる。
だが珠緒はしっかりと真一の体を掴み、離さなかった。
抵抗虚しく真一が果てると珠緒は静かに戻っていった。
(まさかこんな事を望んでいたとは――自分を拘束して、監禁するだけでなく、新しい『子供』を求めているなんて)
真一は虚脱感に襲われながら考えていた。
(早く――早く逃げよう。明日の夜までに)
真一がうつらうつらし始めたのは明るくなってからだった。
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