第六章 二日目

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 真一は夢を見ていた。  夢の中でも真一は動けなかった。  違うのは、体を動かせないのはロープで縛られているからではない。  真一の体を無数の子供の手が押さえているからだ。  周りからクスクスと子供の笑い声が聞こえてくる。  そこへ裸の珠緒が現れる。珠緒のお腹は臨月の様に大きい。 「パパ、私達の新しい子供よ」  珠緒は真一の顔にお腹を押し付ける。  真一は息が出来なかった。  苦しむ真一の耳は確かにお腹の中の鼓動を捉えた。  そして確かに声も聞こえた。 「もうすぐだね」  女の子の声だった。
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